お城観光といえば、本丸までの石段を登って石垣をバックに撮影したり、資料館で歴史を学んだりするのが一般的だと思います。しかし今回ご紹介する「此隅山城」では、そのようなお城観光の定石は一切通用しません。しかし、それでも歴史・お城好きな方におすすめしたいスポットでもあるんです。出石から車で15分の此隅山城跡について、その魅力をお伝えしていきます。
1.此隅山城跡とは

此隅山城跡 頂上からの眺望
室町幕府において四職家の1つであり、最大級の大名であった山名氏が、本国但馬における居城おしていたのが此隅(このすみ)山城です。織田軍の侵攻によって陥落し、後に有子山へ城を構えたために完全な廃城となっています。
出石中心街からのアクセス方法は、車で約15分ほど北(豊岡・城崎方面)になります。なお、此隅山へ登る道は複数あるのですが、「いずし古代学習館」の脇から登るのが一般的です。
古代学習館は出石の歴史を学べるスポットになっていますので、時間に余裕があればぜひ寄ってみてくださいね。

いずし古代学習館
2.とにかく登りづらい此隅山!

古代学習館脇に城跡への入口が
いざ、此隅山への登頂を開始します。入口から城跡までは成人男性の足なら時間にすると、わずか20分ほど。この情報だけ聞くと難易度が低そうに見えるのですが、実はこの山、本当に登りづらいんです。

いきなりロープを使う場所が・・・
ロープ伝いでないと登れない場所や、

未舗装の道
道がまったく舗装されていない箇所

案内板を見てもよく分からない
案内板を見てもどちらに進むか分かりづらい場所

分断された道も
同じ出石の城跡である出石城跡と比べてみましょう。

出石城跡の石段なら小型犬でも楽々
難易度の違いは一目瞭然ですよね。
そして極めつけは・・・

最後の最後に難所が・・・
最後の最後にありました。腕力を頼りにゴールである主郭へと辿り着きます。
時間は短かったものの、かなり体力を消耗しました。
3.それでも此隅山がおすすめな理由
ここまで此隅山の難易度の高さについてお伝えしてきましたが、ここからが本題。なぜ此隅山が歴史好き、城好きにおすすめなのか。
それは、この「登りづらさ」にあるのです。
此隅山城跡には、残存された建造物の構造「遺構」が非常に多く残されています。先ほどご紹介した絶壁のような個所も、分断された路面もすべて敵の侵入を防ぐためのものだったのです。
当時の兵隊はこの急斜面を重装備で駆け上がったのだと思うと、にわかに信じられませんよね。
観光用に路面や石段を舗装されたお城に比べると、より歴史を肌で感じられる──これが天守閣も本丸もないにもかかわらず、此隅山城跡を強くおすすめする理由です。
4.頂上からの眺めはまさに絶景!

頂上からの眺めは抜群
頂上からは出石の街を見渡すことができます。苦労して登ってきただけに、なおさら気分よく眺めることができますよ。
今までのお城見学とは違った楽しみをしたい方にぜひおすすめしたい此隅山城跡。登る際にはしっかり準備(できれば登山靴を履いてください)して臨んでくださいね。